特に大きな出来事が起こる訳でもない日常の話です。
某日22/7事務所にて
穂乃花「やっぱり最初は薄力粉なんだよね。」
純佳「イカは無いのよね。」
楓「餃子もあったらなぁ～」
蛍「るぅ、紅ショウガは譲れません。」
後輩メンバーが話している中、みうとあかねが部屋に入ってくる。
みう「ねえ絢香ちゃん、みんな何を話しているの？」
あかね「食べ物の話というわけではなさそうですが・・・」
絢香「お、クリステルにAI、お疲れ～。あたし等以前お好み焼きで円陣してたじゃない。その話をしたら今からあいつ等自分たちもやってみようってなってさ。」
あかね「え？それならすぐに出来そうなのにどうして話し込んでるのですか？」
絢香「それがさ、誰がどの食材を担当するかが決まらなくてずっとあんな感じで話し合ってるってワケさ。」
みう「そこそんなに重要なのかな？」
絢香「さあ、あたし等には分からない拘りでもあるのかねぇ。」
後輩達がみうとあかねに気づく。
そら「あ、みうさん、あかねさん、お疲れ様です。」
塔子「塔子達今お好み焼きの円陣やろうとしてるんですが、誰がどの材料を言うか決まらないんですよ～」
あかね「決まらないのであればクジなどで決めてしまってはどうです？」
叶愛「ダメですよ！神聖な円陣をそんな簡単に決められません！」
絢香「とまあ、こんな感じだよ。」
みう「なるほど・・・」
みず姫「あの、先輩たちは最初はどうやって決めたんですか？」
あかね「どうやってと言われましても・・・」
みう「えーと、あの時は都ちゃんがポンポン決めていったよ。”みうみうはキャベツなー”って。」
絢香「そうそう、長芋って言われてお好み焼きに長芋入れるなんて初めて知った位だし。」
穂乃花「う～ん都さん、さすがの決断力」
楓「やっぱり関西人だからかな？」
あかね「いえ、特に何も考えていなかったと思いますよ。」
蛍「るぅ、そうなるぅと参考には出来ませんね。もう少し考えないとですね。」
そして再び話し合いに戻る後輩たち。
絢香「やれやれ、これはまだ暫く掛かりそうだな。」
あかね「その様ですね。」
みう「お好み焼きかぁ・・・」
絢香「ん、どうした？クリステルも円陣やりたくなったのか？」
みう「ううん、前に都ちゃんからお好み焼きの焼き方教わった時のことを思い出して。」
絢香「ああ、そういえばそんな事もあったなぁ。」
あやか「あの時も賑やかでしたね。」
・・・
時は遡り、六番町学院ナナニジ寮。
みう、桜、みかみが寮のキッチンで調理中
みう「今度はどうかな？」
桜「うーん、これも違うね。」
みかみ「せやね～。美味しくないという訳ではないんやけど。」
みう「使ってる材料は一緒なのに。」
桜「一体何が違うんだろう？」
みかみ「なかなか上手くいかんな～。」
みう「やっぱり都ちゃんがいないと出来ないのかなぁ・・・」
玄関から都が帰宅
都「ただいまーっと。いやー今日も疲れたわぁ。」
桜「あ、グッドタイミング！　都ちゃん帰ってきたね。」
みかみ「ウチちょっと呼んでくるわ」
みかみ、玄関へ移動。
みかみ「やーちゃん、おかえり。なぁなぁ、ちょっとコッチ来てくれへん？」
都「お、みかみん。どないしたん？」
都を連れてキッチンへ移動。
桜「都ちゃん、おかえり」
みう「おかえり」
都「なんや、ゆるふわチームが集まって作戦会議か？・・・ってそれお好み焼きか？」
みう「うん、ちょっと作ってみたくなって。」
都「わざわざみうみうがやらんでもウチに言ってくれればいくらでも焼くで。」
みかみ「う～ん、そういう訳や無いんよ。」
みう「えとね、都ちゃんが作ってくれて皆で食べるお好み焼きって上手く言えないけどナナニジの味って感じがするんだ。その味を私も作れたらなぁて思って焼いてみたんだ。」
都「かぁ～、嬉しいこと言ってくれるやないか。」
みう「だけど全然うまく出来なくて。」
桜「いろいろ試してみたんだよ。でもどれも都ちゃんが焼いてくれるものとは違くて。」
みかみ「やーちゃん、何が違うのか教えてくれへん？」
都「なるほどな。ちょっとウチも食べさせてもらってええか？」
みう「あ、うん、どうぞ」
都「ほな、いただきます（ぱくっ）。（もぐもぐ）」
桜「・・・どうかな？」
都「あー、確かにコレはいろいろ違うな。」
みかみ「どうすればやーちゃんと同じ味になるん？」
都「んー、どうすればと言われてもなぁ。材料はまだある？ちょっとウチに焼かせてくれへんか？」
桜「うん、もちろん！材料はまだまだたくさんあるよ。」
桜が指差す先に大量の食材。
都「うわっ、何この量。屋台でも始める気か！」
みかみ「どのくらい必要なのか分らんかったから沢山買ったんよ。」
桜「日本ではこう言うでしょ。”大は小を兼ねる”って。」
都「・・・まぁええわ。ほんじゃちょっくら焼くから待っててや。」
暫く経つと都がお好み焼きを焼き上げた。
都「出来たで！さあ、食べてみ。」
みう「それじゃ、いただきます。」
3人は都のお好み焼きを食べる。
桜「Yummy！これだよ！」
みう「うん、作りたかったナナニジの味だ。」
みかみ「ホンマ美味しいなぁ」
都「都ちゃん特製やからな。美味くて当然や！」
みう「都ちゃんお願い、コレと同じ味の出し方を教えてくれないかな。」
都「うーん・・・」
桜「都ちゃん、どうしたの？」
都「言いにくいんやけどな、この味は長いことお好み焼きを焼いてきたウチだから出せる味なんや。材料の配分、混ぜ方、温度、焼き方、返し方、体に染み付いた色んな要素が重なってこの味になってるんや。教えたからといって一朝一夕で出来るものではないで。」
みかみ「そっか、違いは経験の差だったんやな。」
桜「言われてみればそうだよね。」
みう「それじゃあ私じゃナナニジの味は出せないんだね・・・」
明らかに落ち込むみう。
都「・・・・」
桜「みうちゃん」
みかみ「みーちゃん、元気だしてな」
みう「ううん、出来ないのは残念だけど大丈夫だよ。二人ともゴメンね、せっかく付き合ってもらったのに。」
都「・・・なあ、みうみう」
みう「ん、なに？」
都「もう一枚焼きたいんやけど、良かったらそれも食べてくれんか？」
みう「え？うん、それはいいけど・・・」
都「よし、それじゃあまた少し待っててな。」
再び調理を始めもう一枚焼き上げる。
都「さ、どうぞ」
みう「うん（ぱくっ）」
桜「さっきより食材の種類が少ないかな？（ぱくっ）」
みかみ「（もぐもぐもぐ）」
都「食べてみてどや？」
みう「さっきとは違う味だよね。」
桜「うん、どう違うかは説明しにくいけど違う味だね。」
みかみ「こっちも美味しいなぁ（もぐもぐ）」
みう「あ！でもこの味、なんだか覚えがある気がする。」
桜「私も。前にどこかで食べたことある様な・・・」
みかみ「そうなん？ウチはそんな気せえへんけど。」
都「ふふふ、そうやろ。なんたってコレは初懇親会で作った時のヤツやからな？」
みう「初懇親会って、確かITFの時の？！」
都「そうや、皆で初めて食べたお好み焼きの味がこれなんや。」
桜「そっか、食材の種類が少ないのはそれが理由なんだね。でもそれだけでそんなに味が変わるものなの？」
都「勿論それだけやないで。皆でお好み焼き食べる度に皆の好みに合わせて変化つけたり、その時頑張ったメンバーの特徴、例えばジュンが頑張ってたら天かす多めにしたりと実は気づかん位にちょっとずつ味が変わってるんやで。だからさっき食べたのはその最新版てことになるな。」
桜「Wow,全然気づかなかったよ。」
みかみ「そんな事があったんやね。」
みう「知らなかった」
都「なあ、みうみう。今食べたのはさっきと味が違うけど、これはナナニジの味にはならんのか？」
みう「！？　えと、それは・・・」
都「みかみん達がナナニジに入ったときお好みさんも8種から11種になった。この先ナナニジが変わっていくときお好み焼きの味もまた変わっていくやろう。だからどれか1つをナナニジの味って固定する必要はない。皆で集まってその時食べたのがナナニジの味。だから、さっきみうみうが作ったお好み焼きも立派なナナニジの味や。それでええやないか。」
みう「都ちゃん・・・」
桜「そうだよ！みうちゃんのだってナナニジの味だよ！」
みかみ「うふふ、ステキな考えやね。」
みう「うん、都ちゃん、ありがとう。」
都「ええで、ええで、ウチも格言が一つ増えて満足や。（ホントは前にみうみうから似たようなこと教えられてるんやけどな）」
桜「よかった、みうちゃんが元気になってくれて。」
みかみ「せやね、これにて一件落着や。」
みう「うん、それじゃあ片付けは私やるから皆は・・・」
都「あかーーーん！」
みかみ「わぉ」
みう「都ちゃん、どうしたの？」
都「ここまで来てこれで終わらすのはアカン！ナナニジの味は決まっているものではなくても食べるなら美味しい方がええに決まってる！都ちゃん流美味しいお好み焼きの作り方を伝授したる！」
桜「なんだか都ちゃん火がついてない？」
みかみ「うふふ、でもなんか楽しそうやね。」
みう「材料はまだまだあるし・・・よし、都ちゃんお願い。」
桜「Gosh,みうちゃんもやる気だ。」
都「よし、この際メンバー全員集めて講習会にしたろ。3人ともそれぞれ皆に声かけてリビングに集合や！ウチも部屋から三種の神器取ってくる。」
数十分後・・・・
麗華「で、それで全員リビングに集めたわけね。」
都「せっかくだから皆にも知っといてもらおうと思てな。」
絢香「台所で何かしてると思ったらそんな事になってたか。」
つぼみ「あはは、でも皆集まるのは凄いね。ニコっちは面倒くさがると思ったけど。」
ニコル「面倒なのは確かだけど、私だけいないのも後味悪いでしょ。それにバラエティで料理をさせられる事もあるだろうし、その時の備えとして覚えておいて損は無いわ。」
絢香「確かに。私も漫画のネタの肥やしになりそうだな。」
ジュン「皆でお好み焼きを焼くんでしょ？面白そう！やるやる！」
あかね「私も皆さんがどんなお好み焼きを焼くのか興味がありますね。」
悠希「それよりボクは早く食べたいぞ。さっきまでサッカーしてたから腹ペコなんだ。」
桜「それならさっきまで私達が焼いてたのがあるんだけど食べる？」
悠希「おお、食べる食べる！」
つぼみ「あ、そうだ。焼いてるところ動画撮っていい？みやっちが焼いてる動画なら再生数伸びそう！」
都「ええで、ええで。どんどん撮りや。ただし、指導は厳しくいくで！合格ラインになるまで今日は寝かせんからな！」
みかみ「うふふ、盛り上がってきたな。」
麗華「でも材料はたくさんあるとはいえ、お好み焼きを皆が焼くとなると結構な量になるけど、食べきれるかしら？」
悠希「ボクはまだまだ食べれるぞ（ぱくぱくぱく）」
ジュン「一人一枚以上食べるのかな？う～ん、おやつ少な目にしとけば良かったな。」
ニコル「それなら、後輩の子達も呼ぶのはどうかしら？来てくれる子も多いと思うわよ。」
麗華「そうね、みんな、ここは人海戦術で行きましょう。それぞれの後輩に連絡してこれそうなら来てもらって。ただし、無理強いはしないでね」
都「了解や。巴なら多分食費浮くから来てくれそうやな。」
あかね「岬さんも下手したら猫と同じ食事をしてるかもしれません。」
つぼみ「あ、もしもし晴菜っち？寮でお好み焼き焼くんだけど良かったら来ない？え？”ツボは焼くのか？”。うん、つぼも焼くよ～。」
・・・
こうして都のお好み焼き講習会は始まっていく・・・
時は戻って現在。
絢香「人が変わったようにスパルタで散々叩き込まれたな。」
あかね「全部食べきれたのも奇跡でしたね。」
みう「（なつかしいなぁ）」
あかね「あちらもどうやら担当は決まったみたいですよ。」
絢香「お、やっとか。結構掛かったな。」
そら「それじゃあ、みんな担当と順番は覚えたね。」
楓「はーい」
塔子「バッチリだよ」
純佳「やれやれ、やっと決まった」
みず姫「ちょっと緊張する」
蛍「ドキドキですぅ」
叶愛「それじゃあ準備はいいね？」
穂乃花「・・・あれ？私はなんだっけ？」
一同「おい！」
穂乃花説教中・・・
叶愛「じゃ、改めていくよー！」
穂乃花「薄力粉！」
塔子「豚肉！」
叶愛「キャベツ！」
純佳「長いも！」
楓「天かす！」
蛍「紅ショウガ！」
そら「干しエビ！」
みず姫「たまご！」
後輩「ひっくり返してー、ナナブンノニジュウニー！」
後輩「・・・」
みず姫「なんか、変だね」
穂乃花「変・・・」
蛍「そうですか？私は良いと思うけど。」
楓「私も～」
みう「なんだか・・・」
あかね「なんだか初めて円陣をした時のことを思い出しますね。」
絢香「そうだな。あたしらもあいつらと同じ感想だったな。」
みう「うん、でもあれをやったからイロイロ吹っ切れたと思う。」
絢香「あの時ステージでのクリステルの”ぷにっ”も受けてたしな。」
みう「も、もう、絢香ちゃん」
あかね「その後も大きなステージへ臨むときは必ずやるようになりましたね。22/7らしさが生まれた一つの転換期とも言えるでしょう。」
絢香「あ、そうだ」
後輩たちの所へ移動する絢香
絢香「みんなこの後予定は入ってないだろ。それなら今日お好み焼きパーティーやらないか？」
あかね「立川さん・・・」
みう「絢香ちゃんが言い出すなんて珍しい。」
あかね「でも良いかもしれませんね。河野さんがいたら間違いなく言ってたでしょう。」
塔子「お好み焼きですか？いいですねやりましょう！」
穂乃花「うん、賛成～」
絢香「二人もいいだろ？」
離れた位置のみうとあかねがOKサインを出す。
塔子「場所どうしようか？調理器具使うなら事務所は前日までに申請しないといけないからダメだし。」
純佳「それなら私の部屋使っていいよ、結構広目だから皆来ても大丈夫だし。あ、でも私ホットプレート持ってない」
楓「私持ってる。たくさん餃子焼く用の大きいやつだよ。」
そら「じゃあ、純佳ちゃんは部屋の準備で楓ちゃんはホットプレートね。後は買い出しだけど・・・」
蛍「あ、私は楓ちゃんと一緒にホットプレート取りに行きますぅ。」
楓「え？別に私一人でも持っていけるよ。」
蛍「そうなんですどぉ、女の子一人ホットプレートを担いで歩かせるわけにはいきません。」
みず姫「確かにちょっと恥ずかしいかも」
塔子「うんうん、そうだね」
みう「（都ちゃん・・・言われてるよ）」
そら「では二人はホットプレートお願いね。買い出しは私と塔子ちゃんとみず姫ちゃん。3人で足りるかな？」
叶愛「私も行く。飲み物も買うんなら荷物も増えるでしょ。」
穂乃花「えー、私も買い物行きたーい。」
純佳「あなたが行くとお菓子とか余計なもの買うでしょ。私と一緒に部屋の準備よ。」
穂乃花「うう、はーい。」
叶愛「絢香さんたちはここにいない先輩達への声かけお願いします。」
絢香「お、おう。言い出しといて何だけど、後輩達の方が乗り気だな。」
あかね「いいのではないでしょうか。その分私たちは調理を頑張りましょう。」
絢香「そうだな。たこ焼き直伝のお好み焼き、披露しますか。」
そら「絢香さん、買ってくるもので必要な材料って・・・言わなくても分かりますね。」
絢香「はは、そうだな。餅とチーズとベビースターも忘れんなよ。」
みう「あ、それから・・・」
そら「はい？」
みう「材料の産地はバラバラにしてね。」
そら「え、どうしてですか？」
あかね「ふふ、理由は後で話しますよ。有難い格言と一緒に。」
そら「は、はぁ、そうですか。」
絢香「よし、それじゃあ私等も動くかね。私はエリザベスに連絡するからAIはゆるふわに、クリステルは帰国子女にそれぞれ聞いてみてくれ。」
みう「うん」
あかね「わかりました」
スマホを取り出すみう。
みう「もしもし。桜ちゃん、あのね・・・」
みう：今のナナニジのお好み焼きはどんな味になるのだろう？そんな事を楽しみにしながら私は桜ちゃんに今日これからの予定を伝え始めた。
[終わり]