今度のライブのテーマが『魔法学園』と聞いて、イメージしたものを書いてみました。
※学園そのものは出てきません。
※続編の予定もとりあえずありません。
以下、妄想
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滝川家、玄関
みう「それじゃ、そろそろ行くね。」
滝川母「もう行くの？忘れ物はない？」
みう「うん。」
滝川母「ハンカチは？上履きは？持ったの？」
みう「あっちは校内も土足大丈夫だから。」
滝川母「そうだったわね…。」
みう「お母さん、心配しないで。夏休みには一回帰ってくるから。」
滝川母「だって心配よ。魔法使いの家の決まりとは言っても、いきなり一人で寮暮らしなんて…。何かあってもお母さんはすぐには行けないのよ。」
みう「うん…、確かにそれは私も不安。
だけど、桜ちゃんが一緒だから。」
滝川母「…そうね。桜ちゃんは今までこの町で一人暮らししてたんだもんね。何かあったらきっと力になってくれるわね。
でも、、」
みう「お母さん。お願いがあるんだけど聞いてもらってもいい？」
滝川母「勿論よ。お母さんに出来ることなら。」
みう「私、お母さんのホウキを使いたい。ダメ…かな？」
滝川母「私のホウキなら外に置いてあるから好きにして構わないけど…。
どうして？みうにはステッキと一緒に新しいのを買ってあげたじゃない。あんなお古じゃなくて、それを使いなさいよ。」
みう「だって…。お母さんのホウキが一番使い慣れてるし。それにね、あのホウキがあればいつでもお母さんを感じられるから、辛くても耐えられると思う。」
滝川母「みう……。
分かったわ。あんなお古で良ければ持っていきなさい。」
みう「ありがとう。
じゃあ折角だから、買って貰ったホウキは、はるにプレゼントするね。いっぱい練習して飛べるようになってね？」
はる「………。」
みう「はる？」
はる「………。」
みう「私のお下がりじゃ嬉しくない？」
はる「ﾌﾞﾝﾌﾞﾝ(・д・ = ・д・)💦」
みう「じゃあ、貰ってくれる？」
はる「ｺｯｸﾘ(_ _)」
みう「ありがとう。」
はる「……ねぇね。すぐかえってくる？」
みう「すぐ…じゃないかもしれないけど、何回も寝んねしたら帰ってくるよ。」
はる「(片手をパーにして)これくらい？」
みう「もっとかな。」
はる「(もう片方の手の指も足して)じゃあこれくらい？」
みう「うーん、もうちょっと。」
はる「………」
みう「大丈夫。ちゃんと帰ってくる。」
はる「うん。」
みう「帰ってきたら、学園で見てきたこと、いっぱいお話してあげるね。」
はる「うん。」
みう「お母さんのお手伝い、してあげてね。」
はる「うん………ｷﾞｭｯ🤗」
みう「ｷﾞｭｯ🤗」
はる「ねぇね、いってらっしゃい。」
みう「うん。行ってくる。
お母さんも。行ってきます。」
滝川母「気を付けてね。」
みう「うん。」
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玄関を出たみうは、団地の掃除用具入れから母のホウキを手にすると、団地の前に広がる共同広場へと向かう。
そこに設置されたブランコには、腰掛けて足をブラブラさせている金髪の少女が居た。
みう「お待たせ、桜ちゃん。」
桜「ぁ、みうちゃん😊もういいの？」
みう「うん、もう大丈夫。」
桜「じゃあ行こっか。」
みう「うん。」
みうの返事を聞くと、桜はブランコに立ち上がり、そのまま大きく漕ぎ出す。
後ろに前に、後ろに前に。
振れ幅はどんどんと大きくなり、
桜「とうっ！」
ヒーローのような掛け声と共に、桜は自らの身体を上方へと投げ出す。そして宙空で前方一回転をすると、何処からか取り出したホウキに跨がり空へと浮かんだ。
みう「うわぁ、スゴ～い👏。」
桜「えっへへ～。実は結構練習したんだよね～。」
芸達者な親友を尊敬の眼差しで見上げるみう。下からではホウキに対して横向きに腰掛ける彼女のコートの裾までしか見えないが、きっと自慢顔をしていると思った。
みう「じゃあ私も用意するね。」
桜「オッケー。」
桜に一声掛け、母のホウキへと跨がるみう。瞳を閉じると、意識を集中させる。
ピリピリ⚡
次第に、みうの体の中に静電気のような感覚が走る。それを薄く広くするイメージでホウキの先端まで魔力を流し込んでいく。ホウキの表面は魔力で出来た透明な膜に覆われ、穂の一本一本までが力強く張っていく。十分に魔力が行き渡ったところで、みうは空に浮かぶ自分をイメージする。
ふわり。
手に持つホウキから徐々に重みが失われ、跨がるみうの体と共に持ち上がっていくと、遂に彼女の足は完全に大地から離れた。
空中飛行を行う時はいつも、期待と不安が入り交じった何とも言えない感覚をみうは感じていた。その事を桜に話したら「全然分からない」と一笑に付されのだけれど。
みう『…そっか。この気持ちって、こういうことなんだ。』
新たな場所へ飛び出す期待と、大切な場所から離れる不安。
これは先程、自宅の玄関から一歩踏み出した時に感じたものと同じ気持ち。
『きっとこの先も、このホウキに乗るたびに今日の日の事を思い出すんだろうな』と、桜と同じ高さまで浮上しながらみうは確信するのだった。
おしまい。